もともと猫は水分をあまりとらない動物ですが、夏の終わり頃など涼しくなってくると水を飲む量が減ることがあります。
このとき腎機能が落ちている猫は、老廃物が濾過されずに体内に溜まってしまい、腎臓病(腎不全)が進行してしまいます。
夏の終わり~秋頃は特に注意して見てあげて下さい。
腎臓は体内の血液を濾過して、老廃物をおしっことして排泄するという大切な働きをしています。
何らかの原因によって腎臓の組織がが少しずつ破壊されていき、長期間にわたって腎臓の機能が低下した状態が慢性腎臓病です。
猫は普段から水を飲む量が少ないため、腎臓に負担がかかりやすく、慢性腎臓病になりやすいとされています。
年齢に関係なく発症しますが、7歳頃から増加し、10歳以上になると発生率が急増します。
食欲がなくなったり、体重が減ってくると飼い主さんも「おかしいな?病気かな?」と気づくことが多いと思います。
しかし、水をよく飲む、おしっこの量や回数が増えるという「多飲多尿」の症状に特に注意してください。
腎機能が低下するとまず尿の濃縮機能が低下することが多く、尿量が増えます。そうすると体の水分量が減るので、それを補おうと水を多く飲むようになります。
「多飲多尿」は他の症状に比べて早期に出てくる症状です。
この頃には食欲もあり、元気に見えることが多いので症状を見落しがちです。
「食欲がない」「体重が減った」というような目立った症状が現れる頃にはすでに重症ということが少なくありません。
普段から飲み水の量やトイレの状態をチェックして、「多飲多尿」かもしれないと思ったら病院での検査をおすすめします。
腎臓の組織は一度壊れると元に戻ることはありません。
慢性腎臓病の治療は、残された正常な組織を守り、病気の進行をできるだけ抑えて、症状を緩和することが目的となります。
具体的には点滴で毒素がたまってしまった血液を薄めて尿量を増やし、老廃物の排泄を促したり、投薬(降圧剤・リン吸着剤など)を病気の進行度合や症状に応じて行います。
状態により、腹膜透析を行う場合もあります。
食事療法も慢性腎臓病の進行を遅らせる大事な治療の一つです。
療法食は病気の進行状態にあわせて腎臓に負担をかける栄養素(リンなど)の調整をしながら必要なカロリーを効率的に補給することができます。
療法食も、味の選択が可能なものなど色々出てますので好みのものを探してあげてください。水分がとれるので、ウェットタイプのフードをお勧めします。
食べない時は相談してください。水分を取ること・食事をとって痩せないことが大事です。
慢性腎臓病は治る病気ではありませんが、治療によって病気の進行を遅らせ、辛い症状を取り除くことができます。
そのためには早期発見・早期治療が非常に大事です。
慢性腎臓病は病気がかなり進行してからでないと症状が出にくいため、健康診断などで定期的に検査をすることが早期発見・早期治療につながります。少なくとも年に1回は健康診断を受けるようにしましょう。
いつでも新鮮な水が飲めるように用意してあげましょう。何カ所かに分けて置いてあげると好きな時に飲めるので良いです。
慢性腎臓病になると必要以上の水分がおしっことして出てしまい、脱水を起こしやすくなるので十分に飲んでいるか気を付けてあげてください。
水分を十分にとることは腎臓病の予防にもなります。
腎臓に負担をかけないように、タンパク質やリンの量に気を付けてください。慢性腎臓病用の療法食に切り替えるのもよいでしょう。
予防のために、タンパク質やリンがたくさん含まれている食事を与え続けないようにしてください。
また、ドライタイプよりもウェットタイプの方が水分量が多いので半分ずつあげるのもおすすめです。
食欲不振の症状が出ていて食事を食べない時は、病院でご相談下さい。
病状にもよりますが、痩せないことが大切です。食べて体力をつけることが治療の基本になります。
療法食でなくても食べることを優先することもあります。
慢性腎臓病は徐々に進行していきます。病院での定期的なチェックに加えて、飼い主さんが日頃から注意深く観察することで、病気の進行に早めに気づくことができます。様子がおかしい時や、気になることがあれば、早めに受診してください。